一泊約10万円のロッジは2年先まで予約で埋まる。アラスカが誇るカトマイ国立公園とは

SONY DSC

1483363_812344782139112_511134506109425573_n

一瞬の輝きを放つ秋のアラスカ

2月のマレーシア、3月の南カリフォルニア、7月のフランスに続き、9月はアラスカへ行ってきた。アラスカといえば、「冬にオーロラを見に行く場所」というイメージが強かったが、調べれば調べるほど、この土地は様々な魅力に溢れていた。

アラスカの秋は、3週間ほどと、とても短い。8月下旬に黄葉が始まったかと思うと、9月下旬にはもう雪が降っている。しかし、この一瞬の輝きは見逃せない。野生動物たちは冬眠に備えて、食糧を蓄えるべく最後の活動を始める。道を走れば、木々の黄葉が永遠と続き、その奥には低木が赤く染まる山々が見渡せる。そしてこの時期から、オーロラを見ることもできる。秋は、アラスカの魅力が凝縮した季節なのだ。

 

グリズリーベアの聖地 カトマイ国立公園

SONY DSC

今回の旅で忘れられない体験となったのが、アラスカ南部にあるカトマイ国立公園の訪問だった。ここは、世界最大のグリズリーベアの禁猟区として知られている。この国立公園に行くには、アンカレッジからキングサーモン(面白い地名!)へと国内線で飛び(約1時間40分)、さらにそこから小型の水上飛行機で25分ほど飛ぶ必要がある。人生初の水上飛行機では、操縦席の横に座ることができた。少し酔ったけど、爽快な気分だった。

__ 1__ 4 __ 5__ 3

ところで広大なアラスカでは、水上飛行機が交通手段として一般的になっている。道路が通っていない場所も多くあり、そこに生きる人たちは水上飛行機に乗ってアンカレッジなどの町にやってくる。アラスカ全土で約55人にひとりが自家用セスナを持っているというから驚きだ。アンカレッジ市内のスピナード湖は水上飛行機の離発着回数が世界一多い場所で、数分待っていれば水上飛行機の飛び立つ瞬間を見ることができるだろう。

さて、カトマイ国立公園の話に戻るが、この公園内にはキャンプ場の他には宿泊施設がたったひとつしかない。唯一の宿泊施設である「ブルックス・ロッジ」は、一泊素泊まりの料金がなんと約10万円。それでもあまりの人気で2年先まで予約で埋まっているというからさらに驚いた。キャンプ場も、その年の1月に予約が開始されると、あっという間に埋まってしまうそうだ。だからほとんどの観光客は、アンカレッジから日帰りツアーで訪れることになるのだが、それでも約7万円はかかる。国内線と水上飛行機を往復で利用するため、どうしても高額になってしまうのだ。

そんな土地だから、ぼくが今回の旅でカトマイ国立公園を訪れることができたのは、本当に貴重な体験だった。もう人生で二度と行けない場所だろう。実は同時期に同じツアーが4本出たが、うち2団体は、その日の天候が悪化しキングサーモン行きの国内線が飛ばなかったため、訪問ができなかった。無事に行けたぼくは二重の幸運に恵まれていたのだが、公園内でその幸運は三重のものへと変わることになった。

 

カトマイ国立公園に到着

__ 2

カトマイ国立公園に着いて、まずはレンジャーからレクチャーを受けた。公園内で食べ物を持ち歩いてはいけないこと、決められた場所以外で食べてはいけないこと、そして万が一グリズリーベアに遭遇したときの注意点などを聞いた。その後は帰りの水上飛行機の出発時間まで、自由に散策することができる。グリズリーベアが観察できる場所は2カ所あり、ぼくはさっそくカメラを準備して施設を出た。そして歩き始めてすぐに、黒い物体が20メートル前方をゆっくりと横切った。まぎれもなくグリズリーベアだった。

SONY DSC

話と違うじゃないか。ぼくは柵のある安全な展望台から観察するものだと思っていたから、こんなにもあっさりと道で遭遇するとは予想外だった。4本足で歩いているので正確にはわからないが、大きなものでは体長3メートルを超えるらしい。しかし自分の中で、驚きが感動へと変わっていくのを感じた。ここは安全が約束された動物園とは違う。大自然の真っただ中だ。人間は自然の一部に過ぎず、小さな小さな存在なのだ。

 

グリズリーベアとの予期せぬ遭遇

そして、一番の出来事は、ブルックス滝という展望台へ向かう途中の森で起きた。ひとりで森の中の一本道を歩いていたら、グリズリーベアが正面からゆっくりと向かってくるではないか。ぼくとの距離は約25メートル。しかも、3匹の子どもを連れている。ぼくは鼓動が速まるのを感じた。心臓の音が聞こえる。一瞬止まって、カメラを構えたが、手が震えて、どうしてもブレてしまう。レンジャーに教わったとおり、「Hi, Bear」と笑顔で呼びかけた。彼らは最初ぼくの存在に気付いていなかったが、呼びかけたらこちらを向いた。そして後ろの3頭の小グマが「だれだれ?」という様子で、一斉に二本足で立ち上がってぼくの方を見た。それはすごい光景だった。

SONY DSC SONY DSC

「大丈夫だよ。敵じゃないからね」と話しかけながら、ぼくはゆっくりと後ずさりをした。後ろを振り返ってはいけないし、走って逃げてもいけない。走って逃げると彼らは面白がって追いかけてくるのだそうだ。彼らは時速50~60kmで走るらしいから、勝ち目はない。ぼくは彼らのことを見つめながら、少しずつ距離を置いた。そして木の隙間から、写真を撮った。しばらくして、彼らは森の中に消えていった。助かった…。ひと呼吸してから、「ぼくは今、すごい体験をした」と思った。ひとりで野生のクマ4頭に遭遇したのだ。襲われたらイチコロだ。二度とできないような体験に感動した。

その後、無事にブルックス滝に辿り着き、サーモンに食らいつくグリズリーベアを見ることができた。これもすごい迫力だし、とてもよかったけど、やはりさっきの感動にはほど遠い。柵のある場所から命が守られた状態で見るのと、命の危険を感じながら見るのとでは、緊迫感が異なる。それが感動の大きさに繋がるような気がした。

SONY DSC SONY DSC SONY DSC

帰り道にも、また森を抜けたところで2頭のクマに遭遇した。今度は少し落ち着いて写真を撮れた。ぼくはグリズリーベアがとてもかわいらしく思えた。ここには彼らの食糧であるサーモンが豊富にあり、食べ物に困っていないから、人を襲うことはほとんどない。でも、別の場所でグリズリーベアに遭ったら、襲われるかもしれない。安全をほぼ約束された状態で野生のグリズリーベアに遭うのは、もうこの先ないだろう。幸運な体験だった。

SONY DSC

Advertisements

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out / Change )

Connecting to %s